三指教教義
汝、世の同胞と集え
──「三指教典」より三指教三律
汝、世の歪みを正せ
汝、世を光で満たせ
我らは祈る。親指にかけて。
——「三指三聖の誓言」
我らは集う。人差指にかけて。
我らは戦う。中指にかけて。
概要
カテゴリー | 宗教 |
関連団体 | 三指教団 |
聖典 | 三指教典 |
信仰対象 | 神の善性 |
教義内容 | 神格二面説 善性信仰論 護神主義 |
概説
ドーン世界において世界的に信仰されている一大宗教「三指教」の教義。
その内容は三指教典によってまとめられている。
全ての神には善性と悪性の両面があるという「神格二面説」
神そのものではなく、それぞれの神の持つ善性を信仰せよという「善性信仰論」
正しい信仰こそが神の善性を護るのだという「護神主義」
上記三点が教義における最大の特色である。
基本教義
1.この世界には様々なものを司る神がいる。
2.全ての神は「善性」と「悪性」の二面を持つ。(神格二面説)
3.人々の喜びや幸福は神の善性からの賜り物であり、悲しみや不幸は神の悪性がもたらす。
4.我々三指教団が唯一信仰するのは、神ではなく神の善性である。(善性信仰論)
5.人々の正しい信仰心や道徳が神の善性を高める。一方、人々が誤った信仰に走ったり堕落を示したりすると神の悪性が顕現し、我々に害をなす。
6.故に我らは正しき信仰を広め、世を神の善性で満たさねばならない。(護神主義)
7.悪しき信仰が世に満ちたとき、あらゆる神の悪性が顕在し全ては無に帰す。我らはこの大いなる破滅を避けねばならない。
宗教的アライメント
秩序にして善
キーワード
結束、革新、正義、布教、秩序、守護
基本方針
個々の信仰が神の善悪を決める。故に我ら小さな個を集め、皆で正しき信仰を行う必要がある。
異教徒は(意識的であれ無意識的であれ)誤った信仰で神の悪性を呼び込む者である。故に彼らを正しき道に戻し、あるいは撃滅せねばならない。
世の不道徳も神の悪性をもたらす。悪しき習慣は廃し、世を正しき方向に変えねばならない。
神格二面説
あらゆる神には善性と悪性の二面があり、どちらかが強まるとどちらかが弱まる。
このような思想を神格二面説と呼ぶ1。
例えば死の神イリス=メクナイを例に取ると
善性 | 平穏、平等、静寂、輪廻 |
悪性 | 恐怖、破壊、消滅、不死(アンデッド) |
三指の教えでは、正しき信仰によって死の神から(つまり死から)上記の善性がもたらされる。
一方、みだりに生死の理を弄んだり信仰を疎かにすると死によって悪性がもたらされるのである。
以下にそれぞれの神の善性と悪性を例として挙げる。
善性 | 繁栄、豊穣、幸福 |
悪性 | 堕落、姦淫、不作、飢餓 |
善性 | 神聖、退魔、慈悲 |
悪性 | 邪悪、狂気、不安 |
善性 | 約束、信頼、商談の成立 |
悪性 | 裏切り、詐欺、欺瞞、破談 |
善性信仰論
三指教教義の最大の特徴は、特定の神格を信仰対象とせず、その善性を信仰するという点にある。
これが善性信仰論である。
原始三指教成立時、当時の世界宗教である【旧宗教】は、主神の違いによる分派と対立を繰り返しており、後に「大分裂時代」と呼ばれる時代を迎えていた。善性信仰論には、そのような混迷の時代を招いた【旧宗教】のドグマへの批判と反省、不信が表れている。
なお、三指教団は「善性信仰論」の性質上、主神に相当する神は存在しないが、教団内における主要な神格は存在する。それが天理エル=タナキア・霊知サーヌーン・光輝ニドラノの三柱である。
これは、この三柱がそれぞれ【親指】・【人差指】・【中指】の守護神格(後述)に指定されているためである。
善性信仰論への批判
【旧宗教】における神とは善も悪もない混沌である。彼らは死という事象をそのまま「死」として捉え、そこに意味は見いださない。
神に善悪を見出す三指的発想は、人間の傲慢であるという批判がある。
(ここには【旧宗教】特有のエルフ的価値観が見て取れる)
一方、三指にとっても【旧宗教】は善悪を区別せずに等しく崇拝しているため誤った信仰である。
【旧宗教】の信仰態度は神自身でなく、神のもたらす事象(すなわち神の力)を畏れ崇めているにすぎないという反論がされている。
護神主義
人々の信仰が神の善性/悪性を決めるという三指の世界観では、人々の(=我々の)信仰が神を護るというロジックが成立する。これを「護神主義」と呼ぶ。神を護る者だけが神によって守られるのである。
この相補性のある関係性が、信者を死地に駆り立てるほどの情熱の原動力となる。
守護神格
三指教において信仰の対象は神格ではなく神格の持つ善性であることは既に「善性信仰論」の項で述べた通りである。故に三指教全体が特定の神を信奉するという事はない。
しかし、個人や集団レベルではその限りではない。個人的な信仰や、その集団の来歴により、その者が特に信奉する神というものは存在する。
このように、個人や集団が特に篤く信仰する神格のことを、「護り守られる神」という意味合いを込め、「守護神格」と呼ぶ。信仰魔法等の恩恵は、基本的にこの守護神格に由来する力であることが多い。
護神主義への批判
護神主義は三指教団による対外戦争や強引な布教、異教徒や異端への迫害の論拠とされるため、他の宗教からの批判は絶えない。また、しばしば急進的な護神主義者から原理主義的な過激派が輩出されることも問題視されている。(三指の受難を引き起こした【旧宗教】による一連の弾圧も、武装化した護神主義過激派への対抗策であった)
三指教団全体の性質である好戦性、排他性はこの護神主義に由来するところが大きい。
三指三聖の誓言
ティルモサ陥落後、三指教団成立に際して三指三聖が声明した誓言。
我らは祈る。親指にかけて。
我らは集う。人差指にかけて。
我らは戦う。中指にかけて。
これは信徒に対して示した信条である。そのため正確には教義には含まれないが、信徒が従うべき一般的な規範としてこれらの文言は必ず経典の最初のページに記載されている。
注釈
- この設定はタロットカード占いにおける正位置・逆位置から着想された(作者) ↩︎