明滅暦
暁星に、神はいない。
――暁星について、ナイアス・アヴィスマンジー(ルーダ照紀前半の占星術師、天文学者)
概要
カテゴリー | 天文・暦 |
名称 | 明滅暦(めいめつれき) |
別称 | 星の暦(ほしのこよみ)、星暦(せいれき)、明星暦(みょうじょうれき) |
成立 | 不明 |
考案者 | 不明 |
概説
明滅暦(めいめつれき)はドーン世界で広く一般的に用いられている紀年法である。
暁星の明滅及びその変遷(後述)によって時代の規定がなされることが最大の特徴であり、暁星の変遷によって改元が行われる元号式の有限システムである。
ある暁星が輝き始めた年を「暁星(星の名称)の時代眩紀1年」として基準とし、次の暁星への変遷が発生するまでを一つの時間単位として数えあげる。
各暁星の輝き始めから変遷までの期間を「時代」とし、その暁星の名をとって「暁星(星の名称)の時代」と呼ぶ。それぞれの時代は「紀」と呼ばれる三つの時代区分(眩紀、照紀、衰紀)に分けられ、年数は各紀ごとに数えなおされる。
各時代区分は観測される暁星の光度によって行われ、天文学者や占星術師の協議によって決定される。
歴史
明滅暦の起源や考案者に関する詳細は不明である。後述する星と世相の呼応現象からもわかる通り、明滅暦というシステムの根幹である暁星の明滅はドーン世界そのものに密接に関係しているため、継続的な天文観測の結果から経験則的に発生し整備されたと考えるのが一般的である。
ネルウァ衰紀末期の「祈る者たち事件」は暁星の明滅に人為的に介入しようという思想によって引き起こされたため、”大断絶”以前の時代から、少なくとも星と世相の呼応現象は広く知られていたという事が出来るだろう。
暁星と時代、紀
詳細は「暁星(作成中)」も参照

時代
ドーン世界には明け方の空に強く輝く星々が存在する。その中でも最も強く輝く星を「暁星」または「明星」と呼ぶ。
これらの星々には、9000年から10000年をかけて光度が強弱するという性質があり、この現象を「明滅」と呼ぶ。暁星と呼ばれる星は一つの固有の天体ではなく、明け方の空に最も強く輝く星の事である。従って、この明滅現象によって暁星の役割を果たす星が約1万年に一度移り変わる。これが「暁星の変遷」である。
ある星に暁星が変遷してから次の星へ変遷するまでの期間を、明滅暦においては「時代」と定義する。
これまでの暁星の一覧
- 始星メーヴェ
- 次ぐ星コークノス
- 滅びの星ネルウァ
- 呼ばれ星ハルトト
- 凶星ラカ
- 静け星ルーダ
- 暁星シウ
その時代の星は単に「暁星」と呼ばれる。変遷が起こり次の暁星が生まれた時、かつての星にはその性質や担った時代を表すにふさわしい二つ名が与えられる。
紀
「紀」とは、時代を分割する下位の時代区分である。
各時代はそれぞれ眩紀、照紀、衰紀の三つの紀によって構成される。
年数は紀が変わるごとに改められ、1から数え直される。(例えば、シウの時代の眩紀から照紀に切り替わった初めの年を表記すると、『シウ照紀1年』となる)
紀の長さは変動する。これは紀を、既定の年数の経過によってではなく、暁星の光度の観測結果に基づいて決定するためである。それぞれの紀の長さは概ね3000年程度であることが多い。
暁星の輝きの段階
暁星の明滅運動は以下のような四段階で進行する。
各段階が紀における眩紀、照紀、衰紀に対応する。
〇前期
眩紀に対応。
前の暁星から変遷が起こった直後からおおよそ3000年の期間。
時代全体を通して最も光度が高い時期であり、爆発的な輝きを見せる。
また不安定な時期であり、ちらつくような鋭い星の瞬きを肉眼でもはっきりと観測することが出来る。
〇中期
照紀に対応。
前期の終了からおおよそ3000年の期間。
最も安定した時期である。この時期になると前期に見られた星の瞬きは観測できなくなる。
また、それぞれの星の色味が最も強く現れる時期でもある。
〇後期
衰紀に対応。
中期の終了からおおよそ3000年の期間。
時間とともに光度が下がり、中期には見られなかった瞬きが再び観測できるようになる。ただしその瞬きは前期と異なり、揺らめくような幽かなものである。
やがて別の星の光度が上回り、暁星の変遷が完了する。
〇「変遷」以後
変遷完了後も星が消滅するわけではなく、光度を落としながらも空に留まり続ける。また時折、暁星の頃に匹敵する輝きを取り戻すことがあり、このような現象が見られると世相との呼応が起こるため、占星術師や天文学者によって観察される。
星と世相の呼応現象
ドーン世界では、人々が暮らす世界と暁星との間に奇妙な繋がりがある。例えば星が強く輝けば、世も活力に満ち輝かしいものとなる。またあるいは星の光が弱まれば、人の世にも影が差す。
このような星と世との関係性を「星と世相の呼応関係」と呼ぶ。
「時代」と世相の呼応
詳細は「暁星(作成中)」及びそれぞれの星の個記事も参照
暁星を務める星には、それぞれに個々の性質がある。各時代の世相は、その時代の暁星の性質が色濃く反映される。
暁星がその役目を終えると、対応した時代を鑑みて相応しい二つ名が与えられ、その性質を司る星となる。
先述したように、暁星を務めた星々は「変遷」後にも時折強い輝きを取り戻すことがある。このような現象は、その星の性質に関連した何らかの予兆、先触れであると考えられている。
〈例〉
ラカは、その時代中に起こった大陸全土を揺るがす数々の戦乱によって「凶星」の名を与えられ、争い・戦争を司る星となった。
凶星ラカの輝きが強まることは、大規模な戦乱や紛争の予兆であるため、大国の占術師は特にこの星の動向を注意深く観測する。
「紀」と世相の呼応
紀は暁星の輝きと結びついた区分であるため、それぞれの紀で起こりうる出来事や世相に一定の傾向があることで知られている。
〇眩紀
輝かしき時。
前の時代の衰紀で荒廃した世界に、新たな文明や文化が花開く時期。
人々と神の距離が最も近づき、デミゴッドの誕生や神々の争い、恐るべき魔物の討伐など、後に神話となるような事象が起こりやすい。
都市国家や小規模な共和国の勃興が見られる。また、傑作と呼ばれる芸術作品の多くが眩紀に生み出された。
〇照紀
燃え盛る時。
眩紀で生まれた文化や文明の成熟期。
その時代全体を象徴するような出来事が起こりやすいのもこの時期である。
小国を飲み込んだ大帝国が各地に出現しやすく、しばしば大国同士が覇を争う戦乱の世を迎える。
軍事、科学、産業などあらゆる分野が最盛期を迎え、文明の黄金期となる。
〇衰紀
翳りの時。
力ある一部を除き、照紀に築かれた多くの国家が崩壊する。
疫病、飢饉、災害などが頻発し、文明の衰退期を迎える時期である。
また、革命や政変、何らかの変化など、次の時代を予感させる出来事が起こりやすいのもこの時代の特徴である。